発売以来、多くの人々に愛され続けている人気シリーズ「タグホイヤー カレラ」。
今回はそんなカレラの歴史を詳しく解説していきたいと思います。
カレラシリーズの原点
カレラは時代に合わせて、求められる機能やデザインを変化させてきた時計です。
•第1世代(1963年-)
レーサーデザインを目指して作られたとあって、この時期のカレラはクロノグラフながらとても見やすい文字盤でした。
カレラという命名の元になったレースは、「カレラ・パンアメリカーナ」という過酷なレースだったそうで、高級車であるポルシェもこのレースに敬意をもって「カレラ」という名前を命名したそうです。
そのさらなるスピードを望む情熱へ向けて、想像力と技術力を結集し作られたのが第1世代のカレラなのです。
•第2世代(1968年-)
この時代のカレラから、色にもこだわりを持って時計のデザインが作られるようになりました。
第1世代のデザインでも大成功を収めたにも関わらず、第2世代のデザインにはクロノグラフの針の色やサブダイヤルを違う色に変えるなど、大幅な色彩変更をしたそうです。
鮮やかな色使いは第2世代から生まれてきたもの。挑戦者の精神を持ち、現状に満足せず時代の最先端を走る、タグホイヤーのブランドスピリットがうかがえます。
•第3世代(1974-1978年)、第4世代(1978-1981年)
第3世代は「ケースが樽(バレル)型」になったことがそれまでのカレラとの違いで、他はほとんど伝統的なカレラのデザインを踏襲しています。
クォーツ時計が台頭してきた時代の流れに反し、今まで通りの機械式時計を製造していたのです。
また、第4世代のデザインも第2世代のカレラのデザインを比較的濃く受け継いでいますが、普通のクォーツ時計とは違い、カレラの代名詞であるクロノグラフを標準装備していました。
現在のカレラにはバレル型のモデルはありませんが、もしかしたらまた復活する可能性もあるのではないでしょうか。その時代に合わせたかっこよさを追及するブランドがタグホイヤーです。
タグ・ホイヤー カレラの誕生
•第5世代(1984年-1986年)
さてこの時期に、経営者が創設者のジャック・ホイヤー氏から共同運営の会社になり、社名が「ホイヤー」から「タグ・ホイヤー」に変わりました。当時は低価格帯のものが良く売れる時代だったため、フォーミュラ1やアクアレーサーなどの時計開発に力を入れていたのです。
第5世代の特徴は、1970年代の樽(バレル)型のカレラを想起させるような「サンブラスト仕上げ」と、Lemania(レマニア)製のムーブメントです。
この頃のカレラシリーズは他の世代と比べて共通点が少ないとされています。
今までとは大きく違い、タグホイヤーの関連モデルといった扱いで単一モデルのみしか作られず、カレラの時代は終わりを迎えるだろうと思われていました。
•第6世代(1996年-2002年)
さて、ここでカレラの歴史が途絶えてしまうかのように思われた矢先に、なんと空前のレトロブームが巻き起こったのです。
「あの頃の時計はかっこよかった」そう誰もが思い始めた時代です。
どの時計ブランドも、自社の中にそんな「あの頃の時計」=宝石になる可能性を秘めた原石のようなモデルがないかと探し始めました。
そこで再発見されたのがカレラシリーズだった、という訳なのです。
そして作られた第6世代は第1世代のカレラのデザインを見事なまでに復元させました。一度は会社を離れたジャックホイヤー氏もこの再開発に乗り込んだとのことですので、再現度も素晴らしかったのでしょう。
レトロブームのおかげで、カレラの価値は再発見されることとなったのです。
時代の変化に対応する時計・カレラ
•第7世代(2000年-2002年)
第7世代は、レトロモデルとして復活したカレラにとって、最先端を走ることができるモデルなのかを見極められる世代でした。その声に応えた結果、今までのカレラの歴史にはなかったデザインを取り入れました。
“クラシック コレクション”…文字盤にアラビア数字を取り入れ、三針時計にGMTを搭載した、レトロな雰囲気を持ちながらも決して古めかしくないデザイン。
このように、常に新しいデザインの可能性を見出し取り入れていくことで、カレラの歴史は途切れず進んでいくことになります。
•第8世代(2002年-2008年)
第8世代は、大成功を収めたカレラ第7世代と同じく、オリジナルのカレラからデザインを持ってきたものになりました。腕時計と言えば「小さいもの」という固定観念により、ケース径も小さかった時代。
第7世代は世間一般と同じ小振りなケースだったのに対し、第8世代はオリジナルに基づいた、視認性に優れる他より3mm大きいケース径のカレラを登場させたのです。
ボリュームのあるケースは、命がけのモータースポーツへの情熱と力強さが表現されています。
原点回帰と新要素
•第9世代(2004年-2012年)
第9世代はそれまでの先代モデルとは明らかに異なるものでした。
これまでの歴史を踏襲した “レトロなデザイン” から “過去を伝えるモダンなデザイン” への移行が見られ、初代カレラと同じ41mmのケース、リューズとクロノグラフのプッシュボタンのデザインが復活しました。
また一番注目したいのは、固定式アウターベゼルが追加されたところです。
現代のカレラにも受け継がれているこのベゼル。文字盤のデザインは当時から変化していますが、これにはキャリバー16の動きに合わせるためという理由があるようです。
•第10世代(2010年-)
第10世代については、ご存知の方も多いかもしれません。これまでスイスの時計作りを牽引していたETA(エタ)社が、ムーブメント供給を停止するとの発表があった時代です。
タグホイヤー初となる自社開発のムーブメント「キャリバー1887」。
キャリバー1887搭載した新作カレラは、クラシックな1963年の雰囲気を受け継ぎつつ、シンプルながらも見劣りしない丁寧なデザインが特徴です。
自社製ムーブメントの進化
●2015年-2016年
ETA社がムーブメント供給を停止したことで、高級時計を製作しているブランドは一気に自社開発のムーブメントの製作へ移行していきます。
カレラはタグホイヤーの中でも最新の自社ムーブメントをいち早く取り入れました。これが「ホイヤー01」です。
翌2016年には、自社製キャリバー「ホイヤー02T」を搭載したトゥールビヨンを発表しています。
●2019年-
オープンワークの「カレラ」コレクションに「キャリバーホイヤー02」を搭載。ホイヤー02は80時間パワーリザーブを備えた高精度ムーブメントです。
精緻なオープンワークが施されたブラックの文字盤から、タグホイヤーの技術力を余すことなく堪能できます。
●2020年-
ブランド創業160周年を迎え、限定モデルや新しいカレラが続々登場しました。
「カレラホイヤー02 スポーツクロノ」は精度を追求してデザインされた、象徴的なクロノグラフモデル。直径44mmの力強いケース、タキメータが刻まれたセラミックベゼルからは機能性と存在感が溢れます。
「カレラホイヤー02 エレガントクロノ」はスポーティな機能と上品で優雅な佇まいが見事に融合したスタンダードモデル。エレガントでスタイリッシュな外観を演出するハイクオリティな腕時計です。
●2023年-
カレラ誕生60周年を迎えた2023年。1960年代を始め、過去に発売された様々なタイムピースから着想を得た「グラスボックス」デザインの新作を大々的に発表しました。
一際目を引くドーム型のサファイアクリスタルと、フランジまで続くブルーダイヤルが特徴的なモデル。
ケースバックからは自社製ムーブメント「キャリバーTH20-00」が覗きます。直径39mmの洗練されたサイズからは1963年発売当時のクラシカルな魅力を感じることができます。
ここまでご覧いただいて分かるように、カレラは発売当初から続くレトロな雰囲気と最先端の機能やモダンなデザインを融合させたシリーズです。
これからも新たな歴史を作り続けるカレラシリーズから目が離せませんね!
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