オメガの腕時計を調べていくと、必ず「おや？」と思うのがこの「コーアクシャル」と「マスターコーアクシャル」の違いではないでしょうか？オメガの技術がたくさん詰まったこの二つを理解しないなんてもったいない！
というわけで、今回はこの「コーアクシャル」と「マスターコーアクシャル」について解説させて頂きます。
目次
そもそもコーアクシャルとは？
コーアクシャルとは、一言で表すと「同軸の機構(ムーブメント)設計」のことです。
細かく言うと「co-axial」は英語で「同軸の」という意味だけなので、厳密には設計とは言われていませんが、同軸の、ときたら時計の機構の設計のこと(専門用語で【同軸脱進機】のこと)だと誰もがわかるだろうということで、こうなっているようですね。日本語でもよくある省略言葉です。だから「コーアクシャルムーブメント(同軸設計の機構)」というような使われ方をするのです。
もっと簡単にコーアクシャルを他の人にもわかりやすく説明しようとすると、「とてもすごい時計内部の設計がコーアクシャル」となります。これはもちろん、マスターコーアクシャルも同じカテゴリーなので、マスターコーアクシャルに関しては「とてもすごいと言われている時計内部の設計に、マスターがついたくらいすごい設計」です。
なんとなくお分かりいただけましたでしょうか？それでは、ここからはなにがそんなにすごいのか、理由を解説していこうと思います！
1.コーアクシャルがすごい理由
ここからは、なにがそんなに「とてもすごい設計」なのかを詳しく解説していきます！
①消耗するスピードが遅い
時計は、どんなに丁寧に扱っていたとしても、物質であり動くものである以上メンテナンスが必要です。メンテナンスなしに動かし続ければ、内部の機構に負荷がかかって最終的には壊れてしまう。そんな時計の宿命、実は時計ごとにその摩耗スピードが違います。
ⅰ設計段階から負荷を軽く
オメガは設計段階から一番摩耗する場所を変えようとしたのです。もちろん時計メーカーも時計を持つ個人も、摩耗しないで長く使ってもらった方が嬉しいに決まっていますし、職人さんも、内部のあらゆる部分がだめになったものを持ち込まれるより、軽傷で済んだ時計を修理する方が簡単。どちらにもメリットがあります。
「アンクル」が一つ多い
実は、コーアクシャルムーブメントと他の時計ムーブメントを比べたとき、「アンクル」と呼ばれるパーツに違いがあります。他ムーブメントはこの「アンクル」が2つですが、オメガのコーアクシャルムーブメントは「アンクル」が3つ。このパーツが増えることで、「がんぎ車」という、最も摩耗しやすいパーツに負荷がかかりにくくなるように設計されているのです。
ⅱ部品にシリコンを導入
ひげゼンマイというパーツを知っていますか？ひげゼンマイもパーツの中で摩耗が激しい部品の一つです。オメガはアンクルの増設だけではなく、それまで常識だったひげゼンマイの素材を変えました。
磁気帯びしない
時計の故障の原因としてかなり頻出しているのがこの「磁気帯び」。それまではステンレス合金などの、金属で作られるのが当たり前でした。シリコン素材へと変更することにより、時計の現代病と言われる「磁気帯び」故障をほとんどなくしたのです。これもコーアクシャルがすごいと言われる理由の一つです。
耐久力の向上
シリコンは200℃の耐熱性があります。時計を使用する上で、200℃の高温にさらされるという方は使用をご遠慮ください…となるわけですが、現実的にここまで高温になることはありません。熱耐性があるのは良いですよね。金属の腐食の原因としてよくあるのが「酸化」。科学的に安定していて酸化に強いシリコンはかなり丈夫と言えるでしょう。
②耐用年数が長い
ⅰオーバーホールの回数が2分の1
ブランド時計を持つ上で、かなり気になるのがランニングコストです。つまり、メンテナンスですね。上記のようにコーアクシャルムーブメントは摩耗が少ないので、その回数も少なくて済みます。
出典：https://www.omegawatches.jp/
ⅱ具体的には5～8年使用可能
オメガの公式サイトには5～8年に1度、コンプリートメンテナンスサービスを受けるようにしてください。とあります。普通の時計では3～4年に1度はメンテナンスを受けるところですが、コーアクシャル不具合が起きていない方などは8～10年ほど使用する方もいらっしゃいます。それだけムーブメントが消耗しにくく作られていることが分かります。
2.マスターコーアクシャルってすごい？
コーアクシャルのすごさ、なんとなくお分かりいただけたのではないかと思いますが、次に「マスター」がついたコーアクシャルは何がすごいのかを解説していきます！
①さらに強力な耐磁性
最初に開発されたコーアクシャルの耐磁性についても、シリコンひげゼンマイなどの素材によりある程度の耐磁性能を獲得していました。将来、今よりも技術が発達することによって、さらに強力な耐磁性が必要になるということを、オメガは理解していたのです。
ⅰコーアクシャルの15倍
コーアクシャルの対応できる磁力は、1000ガウス。普通に過ごしている中でクリアしたい磁気といえば、電話機が大体50ガウス、大型のスピーカーでも100ガウスくらいのものです。普通に考れば十分ですよね。しかし、オメガはこれで満足しませんでした。
ⅱ15000ガウスの耐磁性
なんとマスターコーアクシャルは15000ガウスまで大丈夫！…なんだそれは？と思われるかもしれませんが、はい、たぶんみなさんそう思われると思います。それだけの磁力を発するものがあるのでしょうか？…実は医療用のMRIは15000ガウス出すそうです。日常あまり行かない場所ではありますが…。
②精緻な機構の量産に成功
コーアクシャルムーブメントだけでも大変魅力がありますが、マスターコーアクシャルは他ブランドが真似できないムーブメント生産体制ができています。それによって私たちにも多大な恩恵が得られています。
ⅰ最新技術が詰まっているのに高すぎない
やはり良いものはコストがかかります。特にどこも行っていない高度な技術開発をすれば、その分コストは跳ね上がり、結果的に私たちが支払うお金が増えるのは当たり前のこと。現代・未来に向けて対応している耐磁性能が高いのに、価格が100万円を超えないのは、オメガの生産体制がしっかりとしているからなのです。ただ、今後この耐磁性が注目されるようになったら、もしかしたら価格が上がってしまうかもしれませんね。
ⅱ機械化しているからミスが起こりにくい
最初、時計職人からは「そんな複雑な機械を量産するなんて無茶だ」と言われていたようです。それでもオメガは最先端の技術を使って、コーアクシャルムーブメントを作り機械化して量産化に成功。機械は人間よりももちろんミスが少ないので、初期不良が起こりにくいという特徴もあります。
コーアクシャルとマスターコーアクシャル、選ぶなら？
結局、どちらを選んだ方が良いのか？というお話もしておきたいとおもいます。どちらを選ぶのにもメリットがありますので、大切にしたい基準で選んでいただくと良いかと思われます！
ⅰマスターコーアクシャルを選ぶメリット
性能を求めるなら、マスターコーアクシャルの方がおすすめです。昔は今よりも磁気を発するものが少なく、コーアクシャルでなくても全然大丈夫な時代でした。今ではどうでしょう。なかなか磁気を発するものが多くなり、マスターコーアクシャルが開発されました。技術の進歩により、マスターコーアクシャルくらいの耐磁性が必要になることも、もしかしたら出てくるかも…しれません。
ⅱコーアクシャルを選ぶメリット
価格を考えるなら、コーアクシャルの方がおすすめです。現状、携帯電話の近くでも磁気帯びしないくらいの時計といえば、コーアクシャルで十分な威力を発揮してくれます。今後強い磁力を発するものが出てこない限りは他の時計に比べて何千倍も磁気帯びしないわけですから、安心ですね。
コーアクシャル マスタークロノメーターって何？
オメガは似たような単語が多いので、結構複雑です。かくいう私も「えーと、コーアクシャルが搭載されたマスタークロノメーター認定の時計ってことかな？」と間違えそうになりました。
①「マスターコーアクシャル」ムーブメント搭載
マスターコーアクシャルムーブメントが搭載してある時計です。つまり今のところ最高峰のムーブメントが入っている時計ということになります。「コーアクシャル マスタークロノメーター」という名前を見たら、「コーアクシャルムーブメント」に「マスタークロノメーター」が入っているんだと勘違いしそうですよね。全部名前にすると長くなるので被っているマスターを抜いたのだと思いますが…。
②精度は「マスタークロノメーター」認定
そして、ここからは追加要素です。時計の精度が抜群に良いという認定を受ける試験をパスしたのが「マスタークロノメーター」。全然関係ない話が出てきたと思ったかもしれませんね。こちらも時計の精度を図るうえでとても重要な厳しい試験ですので、良い時計の基準として参考にすると良いでしょう。
コーアクシャル マスタークロノメーターの代表モデル
コーアクシャル マスタークロノメーターモデルは、オメガの中でも限られています。その代表モデルをいくつかご紹介致します！
①オメガ シーマスター アクアテラ
オメガでも屈指の人気モデル
デザインが好きだという方が多いこのアクアテラ。その人気モデルにこのマスターコーアクシャルムーブメントが搭載されているというのですから驚きです。価格は普通の3針よりお高いものの、 上記にもあったように継続のオーバーホール費用が少ないので、先行投資と見ても良いでしょう。気になる方はどうぞ下記もご覧くださいませ。
▷オメガ「シーマスター アクアテラ」の評判が良い！その３つの理由とは！
②オメガ シーマスター ダイバー300M
こちらはオメガの中でも最新のデザインの時計です。もちろん、リニューアルされたことにより文字盤の波型模様が復活したデザインが好きだという方が多いです。でも、それと同時にマスターコーアクシャルも搭載されましたし、マスタークロノメーターも取得していて、性能もデザインが人気の理由となっているモデルなのです。詳しくは下記ブログをご覧くださいませ。
▷オメガ 「シーマスター ダイバー300M」人気の理由は性能とデザイン！
③オメガ コンステレーション
意外と思われるかもしれませんが、コンステレーションもこのマスターコーアクシャル搭載です。レディースウォッチとして人気が高いコンステレーションですが、ブレスレットが特徴的なので、好みは分かれるかもしれません。シンプルなデザインなので、これも嫌いな方は少ないと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか？
オメガの用語は少し複雑ですが、ちゃんと理解すればきちんと意味がありますので、調べてみるととても興味深いですよね！実際に手に入れたいという方は特に、構造などを知っていただくと楽しいと思いますので、参考にしていただければ嬉しいです。
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